musubiを運営する一般社団法人tsunagariでは、RDDJAPAN公認のもと、希少・難治性疾患の当事者が「ゆるく自由に本音を語り合える座談会」をオンライン開催しました。座談会開催への思いや、当日の様子、ご参加いただいたみなさんの感想などをご紹介します。
目次
- RDDにtsunagariが初参戦
- 座談会の様子をのぞいてみよう!
- 座談会を終えて
- 最後に
RDDにtsunagariが初参戦

RDDイベントを開催した理由
毎年、2月の最終日は「Rare Disease Day(世界希少・難治性疾患の日)」です。
RDDと呼ばれるこの活動については、【世界希少・難治性疾患の日】RDDとは?歴史や日本での活動。でご紹介しています。
ぜひ、ご覧ください。
RDD2023のテーマは「つたえる、ひろがる、つたわる – Our odyssey with RARE」です。
musubiでは、これまでに希少・難治性疾患の方々のインタビュー記事を掲載してきました。
また、musubiの運営やライターにも、たくさんの希少・難治性疾患の当事者が関わっており、musubiと希少・難治性疾患には深い関わりがあります。
そこで、RDDに参加することで、希少・難治性疾患の当事者がつながるきっかけを作るとともに、musubiを訪れる人に希少・難治性疾患のことをもっと知ってもらう機会にしたいと思い、イベントを開催することにしました。
RDD JAPAN×tsunagari
座談会は、musubiを運営する一般社団法人tsunagariが主催となり、RDD JAPAN公認のもと、2月18日と19日の2日に渡りオンラインで開催しました。
トークテーマは「学生生活」「恋愛」「仕事」「結婚」の4つです。
1つのテーマにつき、tsunagariの当事者メンバーと合わせて6,7名で1時間ほどおしゃべりを楽しみました。
当日の様子は、現在、YouTubeに一般公開しています。
イベントにかけた想い
このイベントを企画したのは、私自身が希少・難治性疾患の当事者で「仲間と出会うことが難しい」という悩みを抱えているからです。
病気自体の悩みは医療者に相談できても、病気と共に生活する中で出会う、日常の悩みや戸惑いを話せる場は少ないと感じてきました。
そこで、今回のイベントを通して「ひとりじゃないよ」というメッセージを希少・難治性疾患と生きる仲間やそのご家族に伝えると同時に、希少・難治性疾患と生きる私たちの「リアルな日常」を社会に伝えて広げられたらと思い、企画しました。
座談会の様子をのぞいてみよう!
参加者の紹介
Kanakoさん
肺胞低換気症候群・尿細管性アシドーシス・遺伝性の筋疾患疑い。
小学生頃から原因不明で、20歳からようやく病気がわかってくる。はっきりした事がわかり始めたのは26歳。
医療的ケアや病気があっても夢を叶えられる社会にできる様に、TikTokライブやInstagramなどで発信しています。
こずえさん
呼吸器疾患。発病は出生時で、病名がわかったのは1年くらい前。
Instagramで生活の記録やこれは役に立つかなと思ったことを紹介しています!
しまぽんさん
全身性エリテマトーデス(SLE)・抗リン脂質抗体症候群(APS)・TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)。13歳で発病。
今は毎日の点滴をしながらアルバイトで診療放射線技師の仕事をしています。
はるさん
15歳の時に神経疾患を発症し麻痺が生じる。
「ePARAユナイテッド」という車椅子eサッカーチームで左手のみを使用した片手プレイヤーをしています!
理人さん
2歳の時に脊髄性筋萎縮症を発症。
9歳から10年間の入院生活を送り、大学卒業後はライター/WEBデザイナーとして活動中。
マスケンさん
進行性筋ジストロフィーを患う32歳。
病気の判明は2歳で、現在は24時間人工呼吸器を使用し、医療施設に入所15年目。
ブログで日々発信中。趣味は野球観戦。
ダウさん
重筋無力症を40歳の時に発病。
元俳優、作業療法士としての経験を活かし難病当事者の目線からInstagramを通じて重症筋無力症の早期発見、早期治療、誤診予防のための啓発活動と愚痴聞きます屋をしています。
Hayatoさん
10歳で重症筋無力症(MG)を発症、大学生のときにバセドウ病、巨赤芽球性貧血を発症、社会人になりスティッフパーソン症候群(SPS)を発症。
動けなくても仕事はしたい、という思いからライターなどオンラインでもできる仕事の能力を日々研鑽中。
力也さん
14 歳で脳内出血を発症、その後 21 歳で言語聴覚士を取得。
総合病院・A 型就労支援に勤務。
障害当事者の人生の選択肢を増やす事を目標に23歳で起業。
Nanami
自己免疫性の神経難病。発病は高校1年。
現在は大学院で研究しながら自分らしい働き方を模索中です。座談会の企画者。
トーク1:「学生生活」
Kanakoさん、はるさん、理人さん、ダウさん、Hayatoさん、Nanamiの6人で「学生生活」の思い出を語り合いました。
参加に工夫が必要な授業の乗り切り方がみなさん違い、それぞれ個性が現れていたのが興味深かったです。
【ちょこっと紹介!こんな話をしました】
・先生や友達に病気のことをどう話してる?
・院内学級ってどんな感じ?
・体育の授業はどうしてた?
・学生時代に苦労したことは? etc.
トーク2:「恋愛事情」
・相手に、いつ・どれくらい病気のことを話す?
・発病前後で好きなタイプに変化はあった?
・失敗談を教えて!
・病気や治療の影響で見た目が変わる問題 etc.
トーク3:「仕事事情」
こずえさん、しまぽんさん、マスケンさん、ダウさん、Hayatoさん、力也さん、Nanamiの7人で「仕事」をテーマに、働き方や今まで経験してきた仕事、コロナ禍での変化などをお話ししました。
一般雇用と障害者雇用の違いや、休職や転職の経験談、自分にあった働き方の探し方など、みなさんのいろいろな経験が、このトークにつまっています。
【ちょこっと紹介!こんな話をしました】
・今までどんな仕事をしてきた?
・障害者雇用と一般雇用は具体的には何が違う?
・体力と回復にかかる時間のバランス問題
・モチベーションの作り方を教えて!etc.
トーク4:「結婚観」
こずえさん、ダウさん、Hayatoさん、力也さん、Nanamiの5人で「結婚」に対する思いを語り合いました。
今回は、希少・難治性疾患の当事者だけでお話ししましたが、ぜひ、パートナーの方のお話も伺ってみたいと思いました。
【ちょこっと紹介!こんな話をしました】
・恋愛と結婚は違う?
・主治医に結婚の話をいつする?
・マッチングアプリのあれこれ
・結婚相手に求めること! etc.
座談会を終えて
2日に渡る座談会は、どれも語り足りないほどあっという間に終わりました。
座談会にご参加いただいたみなさんからの感想を一部ご紹介します。
musubiの当事者ライターダウさんの感想
「難病を患うと世間ではネガティブな目線で見られるイメージがありました。今回実際に当事者の方と話すと、出来ること、出来ないこともある中で工夫や努力をしながら、青春を謳歌したり、人生楽しんでいる話を聞いて、出来ないことにフォーカスするのではなく、出来ることを全力でやるって健常者も障がい者も関係ないって改めて思いました。」
座談会に招待したみなさんの感想
「私だけがこんな思いをしているんじゃないかと思っていたけれど、みんなそれぞれに悩みがあり、乗り越えて過ごしてきていると分かった」
「自分が努力することで変えられるんじゃないかと思って乗り切ってきたけれど、みんな、もっと周りを頼っていることを知って、自分も頼ってみようと思った。」
「難病と一括りに言っても、みんなそれぞれ違うし、大変なことや捉え方も少しずつ違うと思った。」
「こういう場に参加するのは初めて。みなさん、元気でアクティブだなと思った。言わなければ、病気や障がいがあると(座談会を)観ている方には分からないかもしれないけれど、きっと、終わったらみんな疲れてぐったりという裏事情もあると思いながら、話を聞いていた。入院しても同世代があまりいないから、当事者の方とお話しできて貴重だった。」
最後に
希少・難治性疾患と聞くと「辛いこと」や「大変なこと」に、思いを寄せられることが多いように思います。
実際に、辛いことも大変なこともたくさんあります。
でも、それだけが、希少・難治性疾患と過ごす私たちの人生ではありません。
今は病気ではない人たちと同じように、何気ない日常や、家族や友だちとの時間があります。
今回の座談会を通して、当事者の繋がりを増やすとともに、希少・難治性疾患と過ごす私たちの「リアル」を社会に向けて少し発信できたのではないかと思います。
ご参加くださったみなさま、本当にありがとうございました。
また来年もRDDイベントを開催しましょう!
関連サイト
Rare Disease Day in Japan 2023公式HP:https://rddjapan.info/2023