今回は、複合性局所疼痛症候群(CRPS)と診断され、完治を目指してリハビリを続けている土井さんにお話を伺いました。
目次
- きっかけは試合中の負傷
- 複合性局所疼痛症候群(CRPS)の診断
- 体育教師として働きながらの治療
- 治療に専念するため退職
- 「根治」を目指したい
- 現状
- 今の目標
きっかけは試合中の負傷
2011年4月、ソフトボールの試合中、内野ゴロを打って1塁に走ったときに、右足首を負傷。病院でギプスでの固定を勧められましたが、2日後に試合があったため、サポーターを使用して出場しました。
その後も7月まで国体などの大会が続いたため、治療をしながら出場を続けました。
8月になり、怪我の治りが遅いということで専門医を受診したところ、靭帯を断裂していて、手術をするしかないと言われました。
1回目の手術は11月でした。
ところが、術後の経過が良くなかったんです。3週間ギプス固定した後、しばらくしても痛くて、なかなか荷重をかけられる状態にならなかったんです。
翌年の4月から始まるリーグ戦に出たかったので、やれることはやっていたのですが。
今思い返せば、CRPS(複合性局所疼痛症候群)の症状が出始めていたのではないかと思います。
結局4月に復帰することは出来なかったです。右足は腫れていて、痛くて走れなかったですし、歩くのも少し辛い感じでした。その頃は本当にもがいていましたね。
春の復帰は諦めて、秋に向けて頑張ってリハビリを続けました。通常の運動機能のリハビリをやっていました。
それでも症状は全く良くならなかったんです。それで、12月に患部を再度開いて確認することになりました。医師も異変を感じていたんでしょう。これが2回目の手術でした。
術後、来年こそはと4月の復帰を目指していたのですが、間に合いませんでした。
そして、秋のリーグが大学生活最後だったので絶対にプレーしたかったんですけど、1イニングだけなど、限定された出場しか出来なかったです。
複合性局所疼痛症候群(CRPS)の診断
2013年、完全復帰はできないまま大学でのソフトボールは引退となった11月頃、右足には痙攣などの神経症状も出てきていました。嫌なことがあると足がブルブル震えるなど、精神面から症状が出ることもありました。
自分でも明らかに怪我以外の症状があると感じ始めていて、医師もCRPSという病名をはっきり口にするようになりました。
ただ、自分としてはCRPSと言われても納得がいかなかったんです。なので、セカンドオピニオンで他の先生にも診てもらいました。
そこで、先生に言われたのは、最初の手術で靭帯をつなぐときに、靭帯が少し短くて、周りの筋肉や腱、神経を巻き込んでしまっている状態だということでした。神経は壊死していました。
その部分の癒着を剥がして分離する手術をしたとしても、元通りに治るかどうかはわからないと言われました。それでも一縷の望みを掛けて手術をすることにしました。大学卒業までもうすぐの1月に、すでに3回目の手術です。
体育教師として働きながらの治療
大学を卒業したあと、4月からは母校の高校で体育教師として働き始めました。3度目の術後の足の状態は良く、杖なども使わずにある程度は動ける状態でした。
ただ、処置が必要な箇所が複数あり、もう1度手術をすることになっていました。4回目の手術は学校の夏休みの期間である7月に受けました。3回目の手術の約半年後ですね。
その手術の後の状況が良くなかったんです。ギプスが取れた後も松葉杖がないと痛くて歩けなくなりました。夏休みが終わったあと働けるのかと不安になりましたね。
でも母校ということもあって色々配慮してもらえて、片方だけ松葉杖を持ってではありますが、復帰することができました。
治療に専念するため退職
母校では3年間働きました。
でも、教師をしていると、ソフトボール部での指導もしていたので、どうしても通院などが後回しになってしまいます。それで、治療に専念したいと思って仕事を辞めることにしました。
身体が治ればまた教師に戻れると考えていました。
そのときにはCRPSという診断が出ていましたが、自分では認められないという感情でした。治療に専念して、やれることは全部やってみないと納得できない。そういう気持ちでした。
仕事を辞めてから、しばらくは病院巡りでした。でも、どの先生も同じ診断でした。それでも諦めきれずに、また次の病院へということを続けていました。
頭にくることもありました。
まず、運動機能のリハビリは発症後または術後最長150日間しか認められないという規定があるので、そもそも受け入れてくれない病院もありました。
また、CRPSの主症状である「痛み」は検査などで数値化できるものではなく、あくまで患者自身の主観になるため、精神的な問題があるのではないかということで精神内科に回されたりすることもありました。
精神面だけで治るのであれば、とっくに治ってる!と言いたくなることが何度もありましたね。
「根治」を目指したい
もう病院巡りはせずに、ひとつの病院に通っています。今の先生が絶対に見捨てないと言ってくれたことが自分にとっては大きかったです。
あと、ドクター、理学療法士、臨床心理士などがチーム医療で診てもらっているのですが、とても信頼していて、身を委ねてるって感じです。
CRPSの治療の選択肢として脊髄刺激療法(SCS)というものがあります。
前の病院でも紹介され、試してみたりもしていました。ただ、身体に機械を入れる必要があり、簡単に後戻りできるものではないんです。しかも、あくまで緩和療法なので、根治治療を目指している自分にとっては、受け入れ難いものでした。
また、SCS は最後の選択肢という考えが自分の中にあって、今の段階でそれをやってしまうのは怖いということもありました。
しかし、2024年にSCSの機械を入れることにしました。それは今の主治医の先生が、根治を目指したいという気持ちを尊重した上で考えてくれているからです。
先生に出会えたのは幸運でした。
ずっとお世話になっていた近所のクリニックの理学療法士が、学会で自分の症例を発表してくれたんです。それを聞いた先生が興味を持ってくれたのがきっかけです。
現状
この病気の症状は人によって全然違うのですが、私の場合、右足は常に痛くて動かすことも触ることも出来ないです。振動があるだけでも痛いです。寝る時は睡眠剤を使っています。しかもその痛みは年々酷くなっているんです。
根治を目的とした治療法が確立されていないため、リハビリで回復を目指すしかないというのもこの病気の辛いところですね。
あと、CRPSは難病指定されていないんです。そのため、なかなか理解されにくかったり、認知度がとても低いという課題があります。
そのため、個人のSNSで、そして同じ病気の仲間と一緒に「ペインと。」というWebサイトとSNSでCRPSについての発信をしています。
今の目標
自分の2本の足で歩くことが今の目標です。
CRPSと診断された直後には足を切断してほしいと思っていました。それで義足で走りたいなと。ただ、この病気では切断しても症状がなくならず、義足を使えない可能性があって、出来ないと言われました。
私としては切断して、義足でパラリンピックに出てメダルを目指すという選択肢は今でも頭の片隅にあります。
しかし、今の主治医医の先生と話をすることで、自分の足で歩くという目標に切り替えることができました。
今は自分の足で立つことを目標に、リハビリを頑張っています!



