今回は、北海道北斗市で農家を営む白石敏明さんにインタビューさせていただきました。
白石さんは8歳の時に潰瘍性大腸炎と診断を受け、その後に合併症である回腸嚢炎も発症しました。発症から診断までの経緯や農業への思い・今後の目標についてお話を伺いました。
目次
- 自己紹介
- 発症から診断まで
- 潰瘍性大腸炎と戦う日常での不安
- 現在の活動
- 今後の目標
自己紹介
はじめまして、北海道北斗市出身の白石敏明です。私は幼少期に潰瘍性大腸炎と診断を受け、長らく病気と共に過ごしてきました。
2024年1月には回腸嚢を摘出し、現在は人工肛門を装用して過ごしています。
仕事は、実家の家業である白石農園で5代目として農家を営んでいます。
新しい価値を自分の代で生み出したいを目標に、日々いろいろなことにチャレンジをしています。

※潰瘍性大腸炎:潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜(最も内側の層)に、びらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患 です。特徴的な症状としては血便を伴うまたは伴わない下痢と、よく起こる腹痛です。病変は直腸から連続的にそして上行性(口側)に広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がります。
参考:指定難病情報センター
※回腸嚢:潰瘍性大腸炎の手術治療では、炎症の母地となる大腸を全て取り除きます。 そして小腸の断端を15cm程折り返して袋を作ります。 これを回腸嚢(かいちょうのう)といい、術後便を貯める機能を持たせ、この回腸嚢と肛門を吻合して肛門から排便できるようにするものです。
発症から診断まで
私は、8歳のときに潰瘍性大腸炎と診断を受けました。
潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜に炎症や潰瘍ができ腹痛や血便を伴う病気です。
診断までですが、あるときから腹痛や下痢をすることが多くなりました。最初のうちはストレスや成長に伴う異変かと思いましたが、痛みが一向に引かなかったため小児科を受診しました。ですが、半年間は原因が分からないとのことで不調のまま過ごしていました。
通院を繰り返すなかで、潰瘍性大腸炎と分かりすぐに入院となりました。強い炎症があったため、腸管を安静に保つために1か月間絶食。育ち盛りな9歳という年齢での絶食は本当に辛かったですね。
潰瘍性大腸炎と戦う日常での不安
中学生で大腸全摘出
潰瘍性大腸炎は薬物療法での治療が多いといわれていますが、私の場合は治療が難しいという判断で中学1年生の終わりころに大腸の全摘出の手術を受けました。
ですが、その後も症状が収まらなかったため、手術後はしばらく人工肛門を装用し過ごしていました。人工肛門に慣れるのには時間がかかり、苦労も多くありました。
回腸嚢炎との闘い
その後、人工肛門を取る手術を行いましたが、術後2週間くらい経ったときに急に高熱が出たのです。検査をしてみると、排泄部に炎症が起きる、回腸嚢炎という病気になっていることが分かりました。人工肛門を取った後に起きることとしては珍しくないようです。
しばらくして自分に合う薬も見つかり、比較的体調が安定しますが、最初は効果があってもすぐに効かなくなったりと、なかなか思い通りにはいかなかったです。
そして昨年1月、急な下血を認めたため緊急入院となりました。回腸嚢を摘出し、再び人工肛門を付ける手術を受けることを決断しました。
しかし、不思議なことに薬を飲まなくなっていた期間に、調子が良くなったのです。現在は私の希望で投薬しない状況で体調管理をさせてもらっていて、発症以来初の試みなのですが、今のところ状態良く過ごせています。
潰瘍性大腸炎と闘う日常での不安
潰瘍性大腸炎の患者の多くは、難病を抱えているようには見えませんが、調子が悪くなると、強烈な腹痛・下痢・血便などの症状が出ます。
調子が良いといっても、普通の方の生活とはやはり違い、便漏れといった排便障害もあります。そのため、トイレは1日で7回ぐらい行きます。潰瘍性大腸炎の患者のみなさんがそういうわけではないのですが、私の場合は大腸を摘出しているので、便を溜めておくことができないんです。
また、外食なども何でも食べて良いわけではないので、腸に優しい消化の良いものを選択する場合もあります。香辛料などの刺激物は避ける必要があるので、さまざまな面で神経を使っていますね。
ただ、病気になってから、一番辛いのは「恐怖と戦うこと」なんです。
何か新しいことをする場合も、私は入院してもいいという覚悟を持つようにしています。
食べ物・睡眠不足・仕事の疲労やストレス。何がきっかけで体調が悪くなるか分からないので、私生活で何をしていても常に病気のことが頭から離れません。
現在の活動
今は実家の家業である農業を営んでいます。小さい農園ではありますが、私で5代目になり、親のサポートもあって良い環境で過ごせています。
農園ではいろいろ野菜を生産しているのですが、そのなかの1つにチコリという野菜があります。最近では、チコリの根っこを乾燥させてから、焙煎し、珈琲のように飲む「チコリコーヒー」という物の商品化に取り組んでいます。
最近ブランド化に成功した神トマト・チコリコーヒーなど、これまでになかった新しい価値を自分の代で生み出したいと思い、チャレンジを続けています。
今後の目標
今後は、病気になって大腸がない状態でも農業をやっていけているということをいろいろな方法で発信していきたいと思っています。
農業を営みながら日々生活する私の姿から勇気づけられる人が少しでもいれば嬉しいです。
また、病気になってから両親にはお金も心配もかけているので、家業である白石農園で頑張ることで恩返ししたいですね。
この病気を抱えながら農業を営んでいる自分だからこそ、「食」の大切さについて強く思いを込めて伝えられると思っています。
これまでになかった新しい価値を自分の代で生み出すこと、そして、私の住んでいる北斗市の農業を盛り立て、社会貢献していくことを目標にさまざまなことにチャレンジしていけたらいいなと思います!





