皆さん、2月の最後の日は、「Rare Disease Day(RDD)」という日だということをご存じですか?「Rare Disease Day(RDD)」は、日本語に訳すと、「世界希少・難治性疾患の日」という意味です。(以下、Rare Disease Day(RDD)を「RDD」と表記します。)
目次
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RDDとは?
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歴史
- 日本では?
- 活動
RDDとは?
皆さん、2月の最後の日は、「Rare Disease Day(RDD)」という日だということをご存じですか?
「Rare Disease Day(RDD)」は、日本語に訳すと、「世界希少・難治性疾患の日」という意味です。(以下、Rare Disease Day(RDD)を「RDD」と表記します。)
「世界希少・難治性疾患」(以下 希少疾患と表記)とは、患者数が少ない疾患のことを指し、その種類は、アメリカのGARD(Genetic and Rare Diseases Information Center)による調査では、全世界で約7,000種類と多岐に渡っていると言われています。(2023/01/29現在:アメリカのGARD(Genetic and Rare Diseases Information Center)による調査)
日本国内においては、患者数が5万人より少ない疾患が、希少疾患に分類されます。
具体的には、下記のような疾患が希少疾患に当てはまります。
- パーキンソン病
- 全身性エリテマトーデス
- 多発性硬化症
- ウィリアムズ症候群
- もやもや病
- 筋萎縮性側索硬化症
- 骨軟化症
希少疾患は、Rare Diseaseと英訳されますが、本当に名前の通り「Rare」(珍しい)なのでしょうか?
その問いに答えるとするのなら…厳密にはそうとは、とても言えません。
全ての病気を全部合わせると、希少疾患の方は、全世界で3億人いると言われています。
日本においては、指定難病になっている病気の患者さんのみでも、100万人いらっしゃいます。
今は、健康なあなたも、あなたの家族、友達、大切なひとも、将来どこかのタイミングで、希少疾患の患者になる可能性は大いにあります。
そして、その希少疾患の患者数の約50%の割合を占めているのが、子どもたちなのです。
全世界でこれだけ沢山の人々が、希少疾患に苦しんでいます。
しかし、その患者数の少なさや、研究の難易度の高さなどから、薬の開発、適切な診断が、全く進んでいない病気も中にはあります。(一説には患者数が少ないということで、企業が利益が出ないため、研究が進めていないということもあるとのことでした。)
希少疾患の中には、医師や看護師といった医療従事者でさえ知らない病名もあります。
そのため、なかなか診断名がつかず、病院を転々としなければいけない患者さんがいらっしゃることが、長年の問題になっています。
このようなデータがあります。
希少疾患の患者さんが、初めての診断で診断名を医師から間違われる確率は、なんと40%という驚くべき数字です。
つまり、初診で本当の病名を見抜けない医者が約半数近くいるということです。
このことからも、どれほど医療従事者の中でも希少疾患が周知されていないかがわかると思います。
また、この患者さんたちが、病名がわかるまでに診察した医者の数の平均は、7.3人というデータもあります。
このデータからも、診断が下されるまでに患者さんがどれほどの時間と労力をかけなければいけないのか、どれほど不安な気持ちで医者を転々と渡り歩かなければいけないのか、と言うことがよくお分かりいただけるかと思います。
病名がわかるまで、いくつもの医療機関を渡り歩くのみならず、同時に複数の病院に通わなければならなかった患者さんも多くいらっしゃいます。
参考:オーファンパシフィック
他にも、同じ病気の方と繋がりにくく、体験談などを知りにくいといった問題もあります。
RDDは、そのような希少疾患を「なるべく早く」且つ「適切な」診断に繋げること、また希少疾患を色々な人に知ってもらい、その認知を上げることを目的としてできました。
他にも、希少疾患の患者さんのQOL(生活の質)を上げることもRDDの目的として、含まれています。
QOLとは、クオリティオブライフの略のこと。
QOLは、詳しく説明すると、患者さん自身の生きがい、苦痛度の軽減などのことを指します。
RDDは患者さんのQOLを上げること…つまり、患者さんの「生きがい」や「幸福感」向上も目指しています。
2月最後の日である2月29日が「うるう年」で珍しく、「希少」なため、2月最後の日が、RDD(世界希少・難治性疾患の日)と決まりました。
RDDは、現在、日本を含む、100カ国で開催されています。
Rare Disease Day(RDD)の歴史
ここで、RDDの歴史を紹介したいと思います。
RDDは、2008年2月29日にスウェーデンで始まりました。
RDDが生まれたきっかけ。
それは、とある研究者の些細な発言からでした。
スウェーデンのカロリンスカ研究所の研究者が、患者さんとお茶をしていた時のこと。
研究者が、
「来年はうるう年でレア(希少)。だから、希少な疾患(Rare Disease)の記念日ができるのでは?」
と言いました。
この発言がきっかけとなり、RDDが誕生したと言われています。
そんなふとした発言で始まったRDD。
しかし、2009年には、30カ国というたくさんの国がRDDに参加しました。
同年2009年には、「2月29日だと、うるう年である4年に1度しか来ない。毎年、参加したい!」という参加した人の意見のもと、2月29日ではなく、2月の最後の日をRDDに変更しました。
その後も、RDDは、どんどんと急成長していき、世界各国に広まっていきます。
現在では、100カ国がRDDに参加。(2022年時点)
日本でも、2010年からRDDの開催がスタートしました。
日本では?
先ほども説明した通り、日本開催は2010年からです。
日本でもRDDが開催されるようになった理由についてお話ししていきます。
それは、2008年に日本開催事務局の西村由希子さんが、アメリカのワシントンD.C.で催された国際希少・難治性疾患創薬会議(ICORD)に参加したことがきっかけでした。
当時、西村さんは東京大学先端科学技術研究センターの研究者であり、薬事法の改定による希少疾病用医薬品にまつわる市場などの変化について研究されていました。
西村さんが、ICORDに参加したのも、その研究内容がきっかけ。
ICORDに参加した西村さんは、患者や研究者、企業などさまざまな立場の人々が、対等に、でも相手を尊重しながら議論を交わしていることに対して、深く感銘を受けます。
西村さんは、そこでRDDの取り組みに興味を持ち、日本に帰国。
その後、西村さんは、即座に協力者を集めて、検討に検討を重ね、2010年に日本開催が始まりました。
それから12年後の、2022年には、日本の全国各地で、50以上のRDDに関係したイベントが開かれました。
活動
日本でのイベントは事務局が公認したイベントが全国各地で行われます。
イベント自体は、各地それぞれの団体が主体となり、それぞれ独自のプログラムを展開。
開催する主体も、実にさまざまです。
それぞれの地域の難病支援団体、もしくは図書館、大学、病院などなど、多岐に渡ります。
日本においてのRDDでは、それぞれの地域で以下のような活動を行っています。
- 講演
- RDDに関連する展示物
- ワークショップ
- ZoomやYouTubeのライブ配信
- スライドショーを使って患者さんの声を紹介
- 患者さんとその家族のトーク談
- 希少疾患の患者さんに向けた相談室コーナー
- 患者の方の演奏
- 患者の方のパフォーマンス
- 川柳大会
などです。
(地域によって、内容は異なります。)
事務局長の西村由希子さんによると、講演会やパネル展示といった、啓蒙活動だけではなく、ワークショップや患者の方の演奏などの活動を入れることで、RDDを「みんなが楽しんで参加できる」、参加型のイベントにするように工夫しているそうです。
2017年には、ひらがなが記載された透明版を目で追って、ALS患者と会話をするワークショップが行われました。
また、2021年には、RDDの日に、東京タワーをRDDカラーにライトアップするなどの取り組みも催されています。
このように、どんな人でも楽しみながら、病気についてを学べるのがRDDの魅力的なポイントです。
また、実際の患者さんと触れ合うことにより、より病気について知ることができることも、とても素敵ですね。
まとめ
この記事で、希少疾患がどれほど周知されていないのか、どれほど沢山の人々が苦しんでいるのか少しでも伝わりましたでしょうか。
また、その患者さんのQOLの向上のためにも開催されている「Rare Disease Day(RDD)」(世界希少・難治性疾患の日)の魅力も少しでも伝わったでしょうか。
日本でも全国各地で開催されています。
今年の2/28にもRDDは、北は北海道から南は沖縄まで、日本全国で、開催が決まっていますので、ご自身のお近くで開催されているイベントを探してみて、ぜひ参加してみてください。
インタビュー、トーク会、質問コーナー、パネル展示、ポスター提示、演奏会、カフェなど、地域によって内容は異なりますが、さまざまな内容が用意されています。
musubiを運営する一般社団法人tsunagariにおいても、RDD JAPAN公認のもと座談会形式のイベントを実施します。
その他開催地域については、下記サイトでご覧いただけます。
ぜひ、少しでも興味のある方は積極的に参加してみましょう!
参考サイト