靴を通して誰かの人生の背中を後押したい。布施田祥子さん【脳出血】

セラピストインタビュー

片麻痺や義足ユーザーの方でもオシャレを楽しめるブランド「Mana‘olana」を運営し、自身も片麻痺当事者である株式会社LUYL代表の布施田さんを取材させていただきました。

もくじ

  • 自己紹介
  • 病気ついて
  • 人生で最も辛かったこと
  • 起業のきっかけ
  • 今後の目標
  • 同病者へメッセージ

自己紹介

株式会社LUYLの布施田祥子です。クリエイティブに社会課題を解決する特別非営利活動法人ピープルデザイン研究所の理事もしています。

病気ついて

出産の8日後、脳出血で倒れる

2011年の8月に娘を出産して、その8日後に突然倒れ意識を失いました。

原因は脳出血です。

幼い頃から潰瘍性大腸炎を患っており、ステロイドを15年近く服用していました。詳細は不明ですが、おそらく薬の服用で血管がもろくなってたのだと思います。

12日後、目を覚ますと以前のように身体を動かすことができなくなっていました。

心の支えは嵐のライブ

受傷してすぐは寝たきりの状態で、トイレも1人で行けませんでした。

「この先一生、人の手を患うんだ」

1人病室の中で落ち込んだ時もありました。

そんな私の支えの1つは大好きな「嵐」の存在です。5ヶ月後のライブに行くことを目標に懸命にリハビリをしました。

努力の甲斐あって、入院中にも関わらず、外出届を出し念願のライブに行くことができたのです。

「できない」ではなく「どうやったらできるか」

倒れてから8ヶ月が経ち、ようやく家族と一緒に暮らし、娘のそばにいることができました。

母親が着付け師だったこともあり、将来子供ができたら着付けてあげるのが私の夢でした。それを諦めたくありませんでした。

大好きな娘のために、できることは全て自分でしたかったのです。

だからできないことを嘆くのではなく、どうやったら片手でもできるかを常に考えリハビリをしていました。

人生で最も辛かったこと

潰瘍性大腸炎の再燃

必死にリハビリに取り組んでいる中、下痢や腹痛など明らかにいつもとは違う症状が現れてきました。

持病の潰瘍性大腸炎が再燃したのです。

一旦は回復し退院するものの、2013年の秋に再度腹痛などの激しい症状に襲われることとなりました。

それでも入院だけは強く拒んでいました。 また娘と離れ離れになるのだけは避けたかったからです。

しかし身体は日に日に弱っていき、精神的にも限界が近づいていたある日、些細なことから3歳の娘に強く八つ当たりをしてしまいました。

自分でも限界を感じ、病院に行った時には体重は13キロ減り、病気は既に手遅れな状態でした。

大腸の全摘

病院で診察を受け医師から言われたのは、大腸を全摘しないと命が危ないという事実でした。

「なんで私だけこんなに辛い思いしないといけないの。」

落ち込んでた私に母親はこう返してくれました。

「みんないろんなことに悩みながら生きてるんだよ。だから苦しいのはさっちゃんだけじゃない。」

自分だけじゃない。1人じゃない。そう思うと心が救われた気持ちになりました。

そして、2015年に大腸全摘手術を受けました。

今思い返すと脳出血で倒れた時よりも、この時が一番辛かったです。

起業のきっかけ

障害があってもオシャレを楽しみたい

姉の影響でファッションがすごく好きで、日本だけではなく海外で買い物するなど、多い時は100足近い靴を持っていました。

障がいを負った日を境に、そのほとんどが履けなくなり、履きやすい介護用の靴を履くこととなりました。

しかし、介護用の靴は、機能面が良くてもデザイン性に乏しいものばかりでした。

欲しい靴がないなら自分で作ろう。これが最初のきっかけです。

ビジネスコンテストに応募

起業を模索している時に、ビジネスコンテストの存在を知り、活動資金が欲しかった私はすぐに応募したものの、その時はまだ事業計画書すらありませんでした。

それから経営セミナーに参加し、たくさんの方にアドバイスを頂きながら私が事業を通して作りたい未来を言語化していきました。

その結果ビジネスコンテストでは賞を受賞することができたのです。

メディアにも大きく取り上げていただき、私の願望から始まったアイデアを実現することができました。

 

今後の目標

私は障がいがきっかけで、好きだったブランドのファッションを楽しむことができなくなりました。 

私たちが運営するブランド「Mana‘olana」は、全ての人が継続して選べるような商品やサービスを展開しています。今後は企業を巻き込み「選択できることの大切さ」という視点を伝えていきたいと考えています。

「Mana‘olana」はハワイ語で自信や希望という意味です。

私たちは、商品を通して誰かの人生の背中を後押しできる存在を目指していきます。

同病者へメッセージ

楽しく生きて欲しい。これに尽きます。

生きることを楽しんでいる人は、とても輝いて見えます。障害当事者になっても第二の人生を楽しめるような社会を創っていきたいです。

みんなが希望を持って楽しく光り輝ける世界を株式会社LUYLは実現します。

Mana‘olanaはこちら:https://manaolana.jp/

本日はありがとうございました!

こちらこそ楽しかったです!
これからも一緒に盛り上げて行きましょう!