精神疾患における精神保健福祉士(PSW)の今後の役割とは?

セラピストインタビュー

現代社会において、精神疾患に罹患する可能性というのは、誰にでもあるものです。

厚生省によれば、精神疾患を有する総患者数は約419.3万人とされています。

そんな精神疾患を患った方をサポートする「PSW」という専門職が存在することをご存じでしょうか?

目次

  • 精神疾患と精神保健福祉士(PSW)
  • 精神疾患の判断の難しさと、サポートの重要性について         
  • 有名なものから、マイナーなものまで
  • みんな知らないPSWとは?
  • どうやって取る?
  • 何が出来る?
  • どう役に立つ?
  • 誰が使える?
  • まとめ

精神疾患と精神保健福祉士(PSW)

現代社会において、精神疾患に罹患する可能性というのは、誰にでもあるものです。

厚生省によれば、精神疾患を有する総患者数は約419.3万人とされています。

そんな精神疾患を患った方をサポートする「PSW」という専門職が存在することをご存じでしょうか?

この記事では、精神疾患と精神保健福祉士(PSW)について掘り下げ、PSWについてや、そのなり方、今後の役割などについてまとめて行ければと思います。

どうぞ最後までお付き合い頂ければと思います。

精神疾患の判断の難しさや、そのサポートの重要性について

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判断の難しさについて

心の病気は、検査値で判断することが出来ない非常に難しいものです。

そのため、症状・持続期間・生活での支障の程度などが診断基準となるので、診察では症状の様子を知る為の面接である「問診」が重要視されます。

また、他の疾患との見極めの為に頭部CT・MRI・血液検査などが行われることもあります。

一般的に心の病気の診断としては、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)に示されている基準によって行われます。

サポートの重要性

「精神疾患」の判断の難しさを考えると、医療機関を受診すべきなのか分からない場合や、治療とは別の心配事がある場合などは、守秘義務を守り、福祉制度などの知識を持つ専門職が置かれている機関に相談することが重要だと考えられます。

一つ例を挙げるとすれば以下の機関です。

精神保健福祉センター

心の病気や医療などの相談を受け付けています。センターにより事業内容が違いますが、医師や保健師・「精神保健福祉士」や臨床心理士などが在籍し、デイケアや家族会の運営などを行っている場合もあります。

 有名なものからマイナーなものまで

 精神疾患には何がある?

一言に「精神疾患」と言っても、様々なものが頭に浮かぶと思います。それでは具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

「精神疾患」には有名なものとして、主に次のものが挙げられます

・統合失調症                    
・発達障がい
・気分障害(うつ病,双極性障がい(躁うつ病))   
・摂食障がい
・てんかん                                                 
・強迫性障がい
・パーソナリティ障がい                                        
・パニック障がい ,不安障がい
・依存症                                               
・PTSD
・高次脳機能

また、「精神疾患」を脳の働きに変化を起こす原因別で分類するならば、「外因性」「心因性」「内因性」のものとなります。

参考記事:みんなのメンタルヘルス – 厚生労働省

     精神障害(精神疾患)の特性(代表例) – 厚生労働省

それでは、マイナーなものにはどのようなものがあるのでしょうか。

難病については次のものが挙げられます。

(患者数が多いもの)

・消化器系疾病(潰瘍性大腸炎、クローン病など)
・自己免疫疾病(全身性エリテマトーデスなど)
・神経・筋疾病(パーキンソン病など)

(患者数が少ないもの)

・血液系(原発性免疫不全症候群など)
・内分泌系(下垂体前葉機能低下症など)
・視覚系(網膜色素変性症など)
・循環器系、呼吸器系、皮膚・結合組織系(神経線維腫症など)
・骨・関節系(後縦靭帯骨化など)

参考記事:難病とは?指定難病との違い、医療費助成・申請方法など解説

このように、「精神疾患」は通常知られているものから、難病と指定され、あまり知られていないものまで数多くあり、医師だけでは、細かいところまで対応しきれない部分があると思います。


この対応しきれない部分をサポートする役割として「PSW」が存在してるのではないでしょうか。ここからはそのPSWについて、詳しく解説していきます。

 みんな知らないPSWとは?

「PSW」とは、「精神保健福祉士」のことです。心の病気や悩み事を抱えた人々の生活を様々な分野からサポートします。「精神保健福祉士」は「精神科ソーシャルワーカー」とも呼ばれ、相談者の日常生活、社会復帰を手伝う専門職となります。

どうやって取る?

精神保健福祉士として働くには、国家資格が必要です。国家試験の受験には、厚生労働大臣が指定している基礎科目・指定科目の修得に加え、必要に応じては、相談援助の実務経験・養成施設の修了が求められることとなり、社会福祉振興・試験センターへの資格登録が必要となります。

「精神保健福祉士」の資格を取るには以下の3つの方法があります。

①保健福祉系大学を出て、試験を受けて資格を取得する。

 相談援助の実務経験の有無によって4年制大学に行くか、短大に行くかは変わります。

②短期養成施設で、精神医学や、精神障害福祉などの専門知識を6ケ月以上に渡って集中的に学び、所定の課程を修めて国家試験の受験資格を取得後、試験を受けて資格を取得する。

 この短期養成所は主に、福祉系大学・短大に進学し、厚生労働省が指定する基礎科目を履修した方などが入学対象者となります。

③一般養成施設で1年以上学び、所定の課程を修めて国家試験の受験資格を取得後、試験を受けて資格を取得する。

 主に福祉系大学以外の4年制大学を卒業した方や、指定施設等で相談援助実務を4年以上経験された方が入学対象者となります。

PSWは何が出来る?

「PSW」の資格を持つと以下のことが出来ます。

・医療に関する支援
・住居に関する支援
・就労や就学に関する支援
・家族への支援
・人権擁護

  どう役に立つ?

「PSW」の資格を持つことにより、以下の職場で働くことが出来ます。

・障がい者福祉関係…障がい者支援施設、グループホーム、回復支援施設

・高齢者福祉関係…特別養護老人ホーム、介護老人保健施設          

・医療関係…総合病院の精神科、精神科病院、精神科・心療内科の診療所

・行政機関…自治体や保健所、福祉事務所、精神保健福祉センター

・学校教育関係…スクールソーシャルワーカー

・司法関係…保護観察所、矯正施設

・その他…産業ソーシャルワーカー、精神障害者雇用トータルサポーター

誰が使える?

「PSW」について、利用出来る人は「精神疾患」を持つ人、悩みを持っている人または、当事者の家族になります。

精神障がい者への支援は、2006年の「障害者自立支援法」2012年の「障害者総合支援法」により整備され、入院医療中心から地域生活中心へと移行していて、「精神保健福祉士」の仕事内容も医療と地域間の連携等が重要視されるようになっています。

参考記事:【2023年最新】精神保健福祉士(PSW)とは? 国家試験の概要や …

まとめ

ここまで精神疾患と精神保健福祉士(PSW)について、まとめてきました。

「精神疾患」というのは、目に見えてわかるものもあれば、分からないものもあります。
人は誰しも悩みがあるように、精神疾患も見えない悩み事の一つです。
その困りごとを「疾患」というかどうかの線引は非常に難しいものと言えるでしょう。

医師でさえ「精神疾患」の判断を難しく思っているほどです。

そうした人達が少しでも生きやすい世の中になる為には、「PSW」の今後の活躍が期待されると思います。

「精神疾患」になる前、悩みの段階で解消されることが出来ることを願っています。