障害者と健常者が支え合う世界を作りたい。合田朝輝さん【筋萎縮性側索硬化症(ALS)】

筋萎縮性側索硬化症

筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断されながらも、独学でマーケティングを学び、クラウドファンディングで200万を集めるなど、マーケターとして活躍される合田朝輝さんを取材させて頂きました。

もくじ

  • 自己紹介
  • 発症当時について
  • 現在に至るまで
  • 今後の目標

自己紹介

合田朝輝(ごうだ ともき)です。29歳で筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断され、障がい当事者となりました。現在はALS×看護師×マーケターとして、ビジネスアイデアの提供やクラウドファンディングのマネジメントをしています。

発症当時について

注射器が持てなくなった

ALSになる前、私は看護師をしていましたが、ある日突然注射器を持てなくなりました。

はじめは腱鞘炎だと思っていましたが、病院に受診するも原因不明が続き、その後太ももも力が入らなくなりました。

職業柄ALSは知っていました。当時、日本の20代では17人しかALS患者がおらず、徐々に進行していくにつれ、もしかしたらとは思うものの、現実的にあり得ないと思っていました。

そして発症から1年が経過したとき、ALSと診断されました。

受け入れた気になっていた

診断されたときは「まじか」の一言です。そしてあまり深く考えることのないよう、旅行によく行きました。今思うと受け入れた気になっていたのかもしれません。

そして、少しずつ歩けなくなり、車椅子生活を余儀なくされました。他にも様々な症状が現れ、できることが少なくなっていきました。考えないようにしてたことが目の前に迫ってきたのです。

現在に至るまで

私は人間でしょうか

友人の勧めでブログを書きました。

何もできなくなる自分が何か生きた証を残したい。そう思い、病気になって初めて自分の思いを表現しました。
今思えば助けを求める声だったのかもしれません。

当時のブログはこちら》

ビジネスについて勉強

動けなくなる現実に絶望していたとき、友人から「ビジネスを手伝ってくれないか」と言われました。それから、時間さえあればYouTubeでマーケティングやライティング、ブランディングを学びました。人との繋がりで徐々にお仕事を紹介してもらえるようになるました。

これまでは動けないことに絶望していました。しかし、その一方で考える力は失わず、時間がたくさんあることは長所だと気付きました。

声を残したい

病気が進行すると声が出せなくなります。しかし、自分の声を録音し合成音声として残すことができます。その費用を集めるためクラウドファンディングに挑戦しました。結果として目標金額を超える200万円の協力をいただきました。

このプロジェクトで、218人という自分が思っていた以上のご支援をいただき、それ以上に多くの方から応援の声をもらいました。こんなにも応援をもらうのは私の人生で初めてです。

これは、私にとって目標金額を達成したことよりもとても価値があり、この経験で自分は大きく成長できました。

クラウドファンディングはこちら》

自薦ヘルパーを利用した暮らし

現在は自薦ヘルパーを利用し、家族と暮らしています。

重度訪問介護の事業所は全国的に少なく、ヘルパーも大変不足しています。私の住んでいる地域には、重度訪問介護派遣事業所がありませんでした。しかし、自薦ヘルパーならば、自ら介助者を見つける努力さえできれば、克服することが可能です。

また、通常の介護サービスでは、事業所からヘルパーを派遣するため、自分に合う人が来るとは限りません。一方自薦ヘルパーは、自分でヘルパーを採用するので、通常のサービスより自由に暮らすことができます。

今後の目標

障害者のスタートアップ支援

18歳までの重度障害者の人数が約10万人いると言われています。そのほとんどが今までは仕事ができませんでした。

しかし制度とテクノロジーが追いついた今、重度障害者は人材の宝です。
身体障害者は体が不自由だけど考えることに問題はありません。スキルがありながら埋もれてる人がたくさんいます。

障害を理由にあきらめようとしている当事者の支援をします。障害者が社会参加することが当たり前な世界に向けて、クラウドファンディングなどを活用しながら、障害者の経済的な自立支援を行っていきます。

同じ病気の方へメッセージ

この二年間で生きるんだ、諦めないんだと言い続けていると、僕を一人の人間として、対等な仕事仲間として、接してくれる人たちが増えてきました。それがどんなに嬉しかったことか。

僕の体は段々動かなくなり、手を動かすこともできなくなります。そして、これから呼吸ができなくなり、人工呼吸器をつけることになります。最後には声を出すことができなくなります。

だからこそ、今、僕は皆さんと繋がる心と共に生きています。繋がりがあるから、僕は人間でいられます。コロナによって、自由に人と会えなくなって、世界中の人が人と人のつながりの大切さを改めて感じました。人と人との繋がりは手放してはいけないものです。

あきらめないこと、人とのつながりを大事にすること。これが僕が最後の声で伝えたいことです。体が動かなくなっても、自分の声が出せなくなっても、諦めない男がここにいます。僕は生きています。

本日は取材を受けて頂きありがとうございました。
バイタリティに溢れた姿、とても刺激を受けました!
今後ともよろしくお願いします!

ありがとうございました。