一緒に受け止め、挑戦していく。看護師・大山尚美さん【乳がん】

当事者インタビュー

北海道で看護師の経験を活かした保険外サービスを提供している大山尚美さん。自らの乳がんに対する闘病中の想いや、その後の「北海道・小樽を1日楽しむ」ことをテーマに掲げたイベントの経緯や想いを取材しました。

目次

  • 自己紹介
  • 病気の発症当時について
  • 病気になって1番変わったこと。
  • 現在の仕事について
  • 「小樽市を1日楽しむ」イベントとは?
  • イベントを企画した理由
  • 大山さんの想い
  • 今後の活動や目標

自己紹介

はじめまして、大山尚美です。7年前に乳がんを患いましたが、北海道札幌市で看護師をしています。昨年からは、看護師による保険外サービス事業を行っています。

病気の発症当時について

7年前、テレビなどで乳がんについてよく取り上げられていたため、看護師の同僚と「私達もチェックしなきゃね」と話し、その後自分で胸を触っている時に2cm弱のしこりを発見しました。

知り合いの職員さんは「私も同じようなものあったけれど、なんともなかったよ?」と言っていたので、しばらく様子を見ることに。けれど、時間が経つにつれ、しこりはどんどん大きくなってきました。

まるで、消しゴムみたい。

ちょうど、別件で手術をする予定があったので、検査はそれが終わってからという話になりました。
忘れないために自分の誕生日である3月にマンモグラフィを受けることにしました。

自分のなかでは、これが悪いものであるという確信のようなものがあって、案の定、乳がんということがわかりました。治療は乳房の全摘出とリンパを取り、ほかに転移はありませんでした。

5年間、薬を飲むことを提案されましたが副作用に、子宮がん発症・うつ病とあり、子どもたちからもそれは困るねと言われて、何もせずに転移や発病した場合は、受け入れようと話しをしましたね。

病気になって1番変わったこと。

それはできていたことができなくなるということです。

私は利き手の右側を摘出したので、痛みなどの影響もあり、細かな作業ができなくなりました。
ご飯を食べるのでさえ大変で、痩せてしまう!と周りに心配されたこともありました。

また、料理が趣味だったのですが、発症後は本当に苦痛になってしまい、今までであれば30分で作り終わっていたところ、3時間もかかってしまうようになりました。

このようなことが度重なり、自分はなぜ生きているんだろうと考えるようになってしまったんですね。

けれども、私には子どもがいるので、「生きなきゃ!」と思ったんです。
だから、できない自分が辛くて、何かできることを探して見つけたのがケアマネージャーの資格の勉強でした。
その後、私はケアマネージャーの資格を取り、今も活かしています。

※ケアマネージャー(介護支援専門員):居宅業務と施設などにおける業務に分かれますが、主に介護を必要とする方が介護保険サービスを受けられるように、ケアプランを作成しサービス事業者などと連携して介護者を支援する仕事です。

現在の仕事について

現在は、看護師の保険外サービスの事業をしています。
仕事内容は、介護保険や公的保険ではできないような、受診の同行やお出かけの付き添いなどです。

例えば、一人暮らしの方が医療機関の受診に単独で行くには、先生の話の理解が難しいという方もいますね。
また、体力的に自信がないという方に受診の同行の支援も行います。

また、がんの末期の患者様が自宅で過ごす際、ご家族さまの代わりに見守ることもあります。
ご家族が見守りをし続けて、「ちょっと夜間も眠れてなくて」と、負担が多い場合には私が代わりに見守り、その間に休んでいただくこともあります。

ほかにも、入院中の方が最後に実家に戻って親戚に会いたいとか、法事に出たいという要望があり、一緒に行くなどしています。

「小樽市を1日楽しむ」イベントとは?

看護師の保険外の事業のひとつとして、障がい当事者をサポートする事業があります。

今年の7月13日に北海道の小樽市で医療従事者と障がい者が集まり、「小樽市を1日楽しむ」というテーマを掲げて、イベントを行いました。

現地集合のため、小樽市に来られる方限定となりましたが、車椅子の方が4名・医療従事者が6〜7名が集まってくれました。

浴衣を着たり、小樽の町並みを散策したり。人力車にも乗りましたね。
ほかにはガラス細工が有名なのでとんぼ玉を制作したり、みんなでお酒を交わしたり、とても楽しかったですね。

障がいを持たない方であれば、何事も問題なく過ごせる旅行のプランだと思います。

しかし、障がい者の方には難しい場面もあります。
手や足に障がいを抱え、立っていることが難しく1人では浴衣を上手に着ることができません。

また、人力車に1人で乗るには、段差を昇らなければ乗車することができず、乗れたとしても、道中の揺れに対して体が転ばないようにバランスをとることも大変です。

ガラス細工では、両手を使う細かな作業も手が動かないと挑戦する勇気も湧いてこないかもしれない。

階段や坂、段差が多い商店街を散策したとしても、お店に入るにも段差を昇らないといけない、散策をするにしても坂を下らないといけないなど、どこかで億劫になることも考えられます。

ですが、これらを現場のスタッフや医療従事者がサポートすることで、普段できないことやらないことに挑戦する意欲が掻き立つのではないかと思い、今回のプランを企画しました。

イベントを企画した理由

障がい者の方それぞれに必要なケアが違ったり、ここまでは手伝ってもらいたいけれど、ここからは自分でやりたいという気持ちがあると思います。

医療従事者の方には、病院以外の場所で障がい者との関わりを体感してほしいと思い、企画しました。

障がい者の方には、あえてバリアの多い小樽市を選んで医療従事者の協力を仰ぎつつも楽しんでもらおうと思いました。

そして、「もっとできることがあるんだよ!挑戦して欲しい!」など前向きな気持ちになってほしいという思いも持っています。

今回は、浴衣や、段差や坂のあるお店・商店街、両手を使うお土産作りなど、障がい者にとってはとてもバリアが多い環境となりました。

周りのサポートはありますが、サポートがあれば、障がい者の方でも普通のことができる。

挑戦することで、新しい発見があることを実感していただけたと思います。

今後の活動や目標

イベントに関しては、今回の反省点も踏まえて、医療従事者に関わらず、たくさんの方に参加していただきたいです。

今後はバーベキューなどさまざまな企画を行うことで、最終的にはキャンプを行いたいと思っています。
保険外サービスの事業では、みなさんが自分の人生を納得して終われるように、「今」を笑顔で過ごすことができる方を増やしたいです。

大山さんの想い

テレビで障がいの方がインタビューを受けている映像を見たんです。

私はそれまでは、「助けなきゃいけない、できないんだな」と思い、やってあげなきゃと思っていました。

ですが、人それぞれで違う感情があったのです。

その方々はコメントで「何もできないわけではないので、かわいそうと思わないでほしいし、助けなきゃいけない存在と思ってほしくない」とおっしゃる方がいる一方、「私はいつでも困ってます」と手助けを求める方もいました。

本当に人それぞれだなと思い、だからこそ一緒に体験してその方との関わりを持たなければならない、その方のことを考えないとケアができないと思いました。

こうした思いもあり、今後もイベントを継続したいと思っています。

読者へのメッセージ

乳がんというのは、女性にとって大事な大切な臓器でもあり、人生を考える病気なのかなと思います。
外見の変化やそれに伴う喪失感・自己肯定感が低くなることもあると思うんです。

乳がんを患っていたとしても前向きに過ごしている方は、いらっしゃると思いますが、今、無理して受け止めなくてもいいと、私は思っています。

なので、まず受け止められない自分を否定せずに、そのときの感情で受け止められないときは誰か頼れる人を見つけたり、自分のことじゃなくても誰かのことで幸せを感じる物を探したり。何とかその方も元気で過ごしていてほしいなと思います。

私も仕事していますが、病気のことなどを受けいれられていないと思うので、一緒に頑張っていきたいですね!