障害を価値に変える。一般社団法人Ayumi

企業インタビュー

一般社団法人Ayumiは「障害を価値に変える」をコンセプトに、バリアフリー認証事業、バリアフリー情報サイト、バリアフリー基金を展開しています。

事業を通して目指すバリアフリーな社会について、代表理事の山口広登(やまぐち ひろと)さんにお話を伺いました。

もくじ

  • Ayumiのコンセプト「障害を価値に変える」に至ったきっかけを教えてください
  • 起業のきっかけを教えてください
  • なぜ車椅子生活を4ヶ月も送ったのですか?
  • バリアフリー認証とはどういった事業ですか?
  • 「情報格差を無くす」との思いに至った理由を教えてください
  • 「未来に期待出来る社会」とはどんな社会なのですか?

Ayumiのコンセプト「障害を価値に変える」に至ったきっかけを教えてください

きっかけは祖母といとこの影響です。

祖母は20代のとき突然重度関節リウマチになり、徐々に手足の筋力が弱まったことで、車椅子生活を余儀なくされました。

いとこも18歳の時、事故で脊髄を損傷し、車椅子生活となりました。

確かに手足は動かせずさまざまな手助けが必要でしたが、動くことが難しいからこそ気付けることがありました。

街中の小さな段差や、利用しやすいスロープの角度、制度の課題点など。
こうした経験や視野、感覚を伝えることで、新たな商品やサービスを生み出すきっかけになればと思っています。

だからこそ「障害だから○○できない」ではなく、「障害そのものを価値やブランドに変えることができる」と確信しています。

起業のきっかけを教えてください

中学と高校時代はサッカー部に所属していて、大学は経済や雇用について学んでいました。
この時はまさか自分が起業するなんて思ってもいませんでした。

起業の原点はいとこと行った旅行です。

旅行で行った温泉はバリアフリーと聞いていたにも関わらず、車椅子では入れないという出来事がありました。

「俺はいいよ。こういうの慣れてるから。」

昔から明るく僕にとっての太陽のような存在だったいとこが、障害を理由に諦めざるを得ない状況に、僕はどうしても納得がいきませんでした。

いとこのために何かできることはないか。

僕の師匠に相談したところ「課題がわかってるならやったらいいじゃん!明日から何しよっか!」と言われ、そこで初めて起業を意識しました。

なぜ車椅子生活を4ヶ月も送ったのですか?

元々人材紹介やIT系のスタートアップで働いていたため、福祉は全く違う畑でした。

業界や当事者にどんな課題があるのかがわからず、40人近くの当事者にヒアリングを実施し情報を集めても、理解することがとても大変でした。

すると師匠に「理解できないなら理解できるよう近づけるしかないんじゃない?車椅子乗りなよ!」とアドバイスをもらい、直ぐにいとこの車椅子を借りて4ヶ月間の車椅子生活がスタートしました。

当事者に近い生活をしてみると、今まで見えてこなかった景色がたくさんありました。
環境によって課題の違いがあることに気付かされ、僕にとってのターニングポイントとなっています。

4ヶ月間の車椅子生活をしたことで、熱意や想いを伝えることができ、たくさんの当事者や起業に不可欠な仲間を集めることもできました。

この経験がなければ今の一般社団法人Ayumiはないですね。

バリアフリー認証とはどういった事業ですか?

バリアフリーと一括りにしても、一人ひとり必要な情報は異なります。

バリアフリー認証は障害当事者と共に91項目の調査及び審査を行い、認証を行うサービスです。

従来のような認知向上だけでなく、当事者による接客研修や当団体のメディアにも店舗のアピールとなる記事を掲載させていただいています。

認証事業を通して産業を創りたいと考えています。

例えば英検ではテストの他に、塾や教材、講師などさまざまな仕事が生まれています。

バリアフリー認証も派生して雇用の創出や価値向上など、当事者がいないと成り立たない世界を作りたいのです。

そうすることで障害者と健常者が本当の意味での垣根を無くし、歩み寄れる世界が作れると思っています。

バリアフリー認証事業はこちら:https://the-ayumi.jp/service/

「情報格差を無くす」との思いに至った理由を教えてください

Ayumiではバリアフリー情報サイトというメディア事業も行っています。

障害に関わる制度やサービス情報はもちろん、高齢者やベビーカーを押すママなど誰にとっても必要な情報を届けられることを意識して運営しています。

また当事者ライターを採用し、当事者にしか気付けない視点というように、当事者ライターの強みを活かし読者に寄り添った記事を発信しています。

インターネットがこれほどまでに発達したにも関わらず、障害に関する情報は出てこないというのが現実です。

実際Ayumiでも当事者やそのご家族を対象に、調査をしたところ、調べたい情報が見つかったと答えた人は4割しかいませんでした。

僕のいとこや祖母も「行きたいところはあるけど、車椅子で入れるかわからないから行けない」とよく言っていました。

情報があることで、選択肢を広げられると思いバリアフリー情報サイトを開設し、これまでに100を超える記事を発信してきました。

また2023年1月6日〜2月6日にクラウドファンディングを実施し、これからより多くの情報を発信できるようにしたいと考えています。


バリアフリー情報サイト:https://the-ayumi.jp/media/
クラウドファンディングはこちら:https://camp-fire.jp/projects/view/639144

「未来に期待出来る社会」とはどんな社会なのですか?

先ほどお伝えしたように、僕のいとこは突然障害を負うことになった中途障害者です。

明るくかっこいい兄貴みたいないとこでも、障害を負った瞬間に未来が見えなくなったと言います。

僕も社会人1年目の時にADHDのグレーゾーン診断を受けました。
目には見えない障害ですが、その日から周囲の僕を見る目が変わったのです。
同じように、僕も未来が考えられなくなりました。

それでも今の僕があるのは家族や師匠の存在です。

Ayumiを通して1人でも多くの人に、Ayumiがあったから今があると思っていただけるような法人を目指したいと思っています。

Ayumiは僕だけでは成り立ちません。

当事者含めてAyumiに関わる全ての人と共に、未来に期待出来る社会を作っていきたいと思います。

本日は貴重なお話ありがとうございました。

僕にとってお兄ちゃんのような存在の山口さんを取材できて嬉しいです。

山口さんを知る人はみんな口を揃えて「広登は良いやつだよ」と言います。僕が本当に尊敬するところです。

これからも共に切磋琢磨して、より良い社会を目指していきましょう!

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