気兼ねなく声を掛け合える未来を創る。しのだしょうたろうさん【脳性麻痺】

脳性麻痺

痙直型脳性麻痺を抱えながらも、自らの経験を活かしマッチングサービスアプリを構想中の起業家、しのだしょうたろうさんを取材させていただきました。

もくじ

  • 自己紹介
  • 自己の障害を自覚
  • サポートや人助けのハードルを低くするプラットフォームアプリ
  • 同じ病気の方へメッセージ

自己紹介

しのだしょうたろうです。年齢は30代で東京都にて生活しています。障害の影響で体を思うように動かせず、普段は左の人差し指でパソコンを操作し、在宅勤務をしています。

自己の障害を自覚

思春期で感じた違和感

未熟児で生まれた影響で痙直型脳性麻痺と診断を受けました。

生まれてからは幼なじみと遊び、周りとの違いを感じることはありませんでした。しかし小学校へ入学の際、友達はみんな地域の学校へ進学するものの、僕だけは特別支援学校に行くことになったのです。

そこは1クラス8人の学校で、ゲーム機や漫画を持参して休み時間に遊ぶことができたり、生徒の誕生日会が行われるなど、楽しかったですが、健常者の学生生活と比べるとかなり違和感がありました。

それをより強く感じたのは弟からかけられた言葉です。

「お前のいる学校なんか、普通の学校じゃない」
その言葉もあり、もっとさまざまなことを体験したいと感じ、中学校からは地域の学校へ進学することを決めました。

地元の学校で言われた言葉

学校でも必要な介助を受けるため、肢体不自由者に1人介助専門員が付く介助員制度を使い学生生活を送りました。

そこは1クラス30人。初めて多くの同年代と触れ合う機会となったのです。

同級生からは「なんでお前は障害があるのに24時間テレビに出てくるような人みたいに頑張らないんだ」とか「何で自分の手がおかしいのかとか、考えたことないの」と言われることもありました。

いい気持ちはしなかったものの、特別支援学校で障害者ばかりの環境にいたせいか、健常者の違和感に気づかず、自分にとっては当たり前になっていました。ここで、相手の視点に立つことも学びました。

また勉強だけでなく、スポーツができる人、文化祭や体育祭になると人一倍やる気になる人など、世の中にはさまざまな人がいると感じる新鮮な日々でした。

サポートや人助けのハードルを低くするプラットフォームアプリ

一般企業で働く場合の課題

大学では政治経済学を学び、クラスメイトのサポートを受けながら、卒業することができました。

今は一般企業で在宅勤務をしていますが、もともと就職できると考えていませんでした。

周りの重度障害者のほとんどは作業所で働くか、趣味を楽しみながら暮らすことが多かったため、会社に就職することをイメージできていませんでした。

実際に会社に入ってからも社会のバリアを感じることは少なくありません。

その一つがヘルパー制度です。福祉サービスであるヘルパー制度ですが、勤務時は使えないという現状があります。

例えば、利用する場合でも事前に予約が必要なことや、常にヘルパーさんがいることで、会社の同僚との接点も減ってしまいます。

またプライベートの時間もなかなか同伴者がみつからず、外出したくても外出することができません。これでは会社で働いてはいますが、プライベートも含めて行動範囲が広がりません。

大学のときのように福祉専門家でなくてもいいので手伝って欲しい。

そうした想いから起業プログラムを受講し、今取り組んでいるサポートや人助けのハードルを低くするプラットフォームアプリの構想に至りました。

サポートや人助けのハードルを低くするプラットフォームアプリ

現在は、外出時に困った時に助けてくれる人を見つけるアプリを考えています。

私は、外出にヘルパー制度を利用できず、家族や友人に付き添ってもらえなければ、出られないという悩みがあります。

外出先で手伝ってもらう人が福祉専門職や初対面の方でも大丈夫です。それは、それでもいいから外出や○○したいというニーズがあるからです。

また声をかけることに躊躇してしまうのは、サポートする側も同じなのではないでしょうか。

例えば街中で、困っていそうな人を見つけたけれど本当に困っているのかわからない。身体障害者(特に肢体不自由者)と接したことがないので手伝い方がわからない。

こうした皆さんの声を聞くため、アンケートも実施しています。よろしければご協力をお願いします。

また、プログラミングやデザイン性、ビジネスモデルを一緒に考えていくメンバーも募集しています。ご興味のある方はまずアンケートにご回答いただければ幸いです。

今回取り上げる肢体不自由者とは聴覚・視覚障害を除く、身体機能が不自由なため「立つ」「座る」「歩く」「食事」「着替え」「物の持ち運び」などの動作が困難な方

家族や福祉専門家だけでなく、手伝ってもいいと思っている人が食事、コートの脱ぎ着、トイレを手伝える社会を実現する。これにより、気兼ねなく声を掛け合える未来を目指します。

同じ病気の方へメッセージ

脳性麻痺として生まれると、訓練を通して欠点を克服しようとする方をよく見かけます。

それだけではなく、好きなことを見つけて、自分の声でこれがしたいと発言して欲しいです。そして一緒に楽しく挑戦していく仲間を見つけて、あなたらしい世界を歩んでいけることを願っています。

本日はお忙しい中、ありがとうございました!
起業家としてしのださんに負けないよう頑張ります!

こちらこそありがとうございました!